適当に駄文。
書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。
TRPGとか電源ゲーとかの話も。
なんか色々やろうとしたが、結局はこのへんが俺の限界というかだめだ他の技術に手を出そうとしても上手く行く気がしない文章なら上手く行く気がするのかというとそういうわけもないがただ継続できるのがこれだけだとうぎいいいいいいいいいいい
+ + + + + + + + + +
くだんの首
ある男が、一つの首を抱えていた。
枯れきったミイラとなったそのなにがしかの頭部は、人間めいた顔つきをしていた。しかし人間のものだとも断言しきれない。干からびたそれはたるんだ皮膚がおびただしい皺となり、互いに重なり、膠着し、元の形を想像すらさせなかった。
命などとうに尽きたに違いない首から、かすれた小さな声が聞こえた。
「この報いは、いずれ果たされる」
首は「くだんの首」と呼ばれていた。
「くだん」とは、人間の頭を持つ牛の怪物である。様々な予言を為した後、死ぬといわれている異形のものである。
「くだんの首」は生きている間、まったく予言をしなかったらしい。生れ落ちてすぐに殺されたためである。
「くだん」は予言を為して死ぬ。では予言を為さずに死んだ「くだん」はどうなるのか?
それは未来永劫に予言を続けるのだ。
その男が「くだんの首」の話を聞いたのは、親が資産家である以外にはまったく取り得のない女からだった。
男はいずれ女が継ぐであろう財産だけが目当てで結婚の約束を取り付けていた。しかし女の家に秘蔵されているという首の話を聞いてから、気が変わった。
女の家が「くだんの首」のおかげで成り上がったのであれば、その首さえ手に入れれば醜く愚鈍な女と共に暮らす必要もないわけだ。
そうして男は「くだんの首」を持ち出して逐電した。
首を包んだ風呂敷包みを小脇に抱えて走る男の耳には、その低い声は聞こえなかったかもしれない。
「この報いは、いずれ果たされる」
「くだんの首」は予言らしい予言はなさなかったが、ごく稀に人語を発すことがあった。
酒に酔った男が恐怖を忘れて首をいじりまわした時。狭い部屋の中で偶然男の腕が触れたとき。それでもやはり多くの場合は沈黙していたが、時折思い出したかのように、その干からびた唇を動かさずに唸るのだ。
毎回、毎回同じ言葉を。
「この報いは、いずれ果たされる」
男は恐怖した。
どこかに売り飛ばそうかと思ったが、犯罪に関係したものかも知れぬと思うと不用意に他人に見せる気はしなかった。もとより盗品ではあったし。
人知れぬ場所に捨ててしまおうかと思ったが、逆に目の届かぬ場所に置くのも怖く感じられて出来ずじまいであった。
いっそ女の家へ返しに行こうかと考えたこともあったが、その一家は一人娘の死産を風聞として残し、どこかへ消えてしまっていた。
しかし歳を経て、男は「くだんの首」との付き合い方を覚えた。
首が語る言葉は常に
「この報いは、いずれ果たされる」
であった。「いずれ」である。「今」ではない。
「報い」とやらが果たされるまでは、男が破滅することは無い。そしていつか「報い」が果たされるならば、震えていてもしかたがない。
なけなしの金を投資し、分の悪い賭けを行い、そしてそれらに払った金は数百倍となって返ってきた。
危ない橋を渡るのに疲れたとき、ふと不安にかられた時、男はかならず「くだんの首」を持ち出し、あの言葉を聞こうとするのだった。
「この報いは、いずれ果たされる」
ある日、男が「くだんの首」を手に取ったとき、首の奥でなにかが弾ける音と、それに続いて蛇がうなるような音が聞こえた。
ずっと昔、まだ子供の頃に、男はこの音を聞いた覚えがあった。
ぜんまい仕掛けが壊れる音。
男は「くだんの首」を床に叩きつけた。踏みにじった。乾燥したそれは簡単に砕け、粉々の埃じみた破片となったそれ自身とともに、自動巻きぜんまいと、小さな蓄音管と、そしてその他の細々した部品をばら撒いた。
今まで男を脅かし、支えてきたのは古い古い玩具であったのだ。
「くだんの首」などまやかしだった。「いつか果たされる報い」などない。即座に破滅するかもしれない。もしかしたら成功し続けるかもしれない。その思いが今まで男がこなしてきた危うい綱渡りのバランスを壊してしまった。
投資は失敗し、負債は負債を呼んだ。
損失を挽回しようと大きなヤマは張っても、死に体で行う博打が上手く行くはずも無い。
やがては回らぬ首を吊らねばならなくなった。いや、自ら首を吊ることすら許されなかった。
返せぬ金は体で払えと、まずは極限まで血を抜かれ、かろうじて生きている臓器はすべて表ざたに出来ぬ売買ルートにバラバラに流れ、それでも飽き足らずに切り落とされた首はたちの悪い加工を施されて異国の未開人の工芸品と称して二束三文であやしげな店の片隅に転がされた。
いつか長い年月が過ぎて、男の首を手に入れた者は聞くであろう。機械仕掛けの声で語るあの言葉を。
「この報いは、いずれ果たされる」
ある男が、一つの首を抱えていた。
枯れきったミイラとなったそのなにがしかの頭部は、人間めいた顔つきをしていた。しかし人間のものだとも断言しきれない。干からびたそれはたるんだ皮膚がおびただしい皺となり、互いに重なり、膠着し、元の形を想像すらさせなかった。
命などとうに尽きたに違いない首から、かすれた小さな声が聞こえた。
「この報いは、いずれ果たされる」
首は「くだんの首」と呼ばれていた。
「くだん」とは、人間の頭を持つ牛の怪物である。様々な予言を為した後、死ぬといわれている異形のものである。
「くだんの首」は生きている間、まったく予言をしなかったらしい。生れ落ちてすぐに殺されたためである。
「くだん」は予言を為して死ぬ。では予言を為さずに死んだ「くだん」はどうなるのか?
それは未来永劫に予言を続けるのだ。
その男が「くだんの首」の話を聞いたのは、親が資産家である以外にはまったく取り得のない女からだった。
男はいずれ女が継ぐであろう財産だけが目当てで結婚の約束を取り付けていた。しかし女の家に秘蔵されているという首の話を聞いてから、気が変わった。
女の家が「くだんの首」のおかげで成り上がったのであれば、その首さえ手に入れれば醜く愚鈍な女と共に暮らす必要もないわけだ。
そうして男は「くだんの首」を持ち出して逐電した。
首を包んだ風呂敷包みを小脇に抱えて走る男の耳には、その低い声は聞こえなかったかもしれない。
「この報いは、いずれ果たされる」
「くだんの首」は予言らしい予言はなさなかったが、ごく稀に人語を発すことがあった。
酒に酔った男が恐怖を忘れて首をいじりまわした時。狭い部屋の中で偶然男の腕が触れたとき。それでもやはり多くの場合は沈黙していたが、時折思い出したかのように、その干からびた唇を動かさずに唸るのだ。
毎回、毎回同じ言葉を。
「この報いは、いずれ果たされる」
男は恐怖した。
どこかに売り飛ばそうかと思ったが、犯罪に関係したものかも知れぬと思うと不用意に他人に見せる気はしなかった。もとより盗品ではあったし。
人知れぬ場所に捨ててしまおうかと思ったが、逆に目の届かぬ場所に置くのも怖く感じられて出来ずじまいであった。
いっそ女の家へ返しに行こうかと考えたこともあったが、その一家は一人娘の死産を風聞として残し、どこかへ消えてしまっていた。
しかし歳を経て、男は「くだんの首」との付き合い方を覚えた。
首が語る言葉は常に
「この報いは、いずれ果たされる」
であった。「いずれ」である。「今」ではない。
「報い」とやらが果たされるまでは、男が破滅することは無い。そしていつか「報い」が果たされるならば、震えていてもしかたがない。
なけなしの金を投資し、分の悪い賭けを行い、そしてそれらに払った金は数百倍となって返ってきた。
危ない橋を渡るのに疲れたとき、ふと不安にかられた時、男はかならず「くだんの首」を持ち出し、あの言葉を聞こうとするのだった。
「この報いは、いずれ果たされる」
ある日、男が「くだんの首」を手に取ったとき、首の奥でなにかが弾ける音と、それに続いて蛇がうなるような音が聞こえた。
ずっと昔、まだ子供の頃に、男はこの音を聞いた覚えがあった。
ぜんまい仕掛けが壊れる音。
男は「くだんの首」を床に叩きつけた。踏みにじった。乾燥したそれは簡単に砕け、粉々の埃じみた破片となったそれ自身とともに、自動巻きぜんまいと、小さな蓄音管と、そしてその他の細々した部品をばら撒いた。
今まで男を脅かし、支えてきたのは古い古い玩具であったのだ。
「くだんの首」などまやかしだった。「いつか果たされる報い」などない。即座に破滅するかもしれない。もしかしたら成功し続けるかもしれない。その思いが今まで男がこなしてきた危うい綱渡りのバランスを壊してしまった。
投資は失敗し、負債は負債を呼んだ。
損失を挽回しようと大きなヤマは張っても、死に体で行う博打が上手く行くはずも無い。
やがては回らぬ首を吊らねばならなくなった。いや、自ら首を吊ることすら許されなかった。
返せぬ金は体で払えと、まずは極限まで血を抜かれ、かろうじて生きている臓器はすべて表ざたに出来ぬ売買ルートにバラバラに流れ、それでも飽き足らずに切り落とされた首はたちの悪い加工を施されて異国の未開人の工芸品と称して二束三文であやしげな店の片隅に転がされた。
いつか長い年月が過ぎて、男の首を手に入れた者は聞くであろう。機械仕掛けの声で語るあの言葉を。
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双葉稀鏡
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男性
趣味:
TRPG
自己紹介:
いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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