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適当に駄文。 書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。 TRPGとか電源ゲーとかの話も。
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っつーわけで書き物。
…おい、こんな時間かよ。さて寝よう寝よう

+ + + + + + + + + +
百物語×10

 仕事から帰った僕は、まずパソコンの電源を入れた。
 友人知人の中には四六時中(まさに二十四時間)、電源いれっぱなしという者も数人いる。しかし僕は自家サーバなど立ててはいないし、ウィルス検索に何時間もかかるほどのデータを持っているわけでもない。なにより、ただでさえ暑いこの季節に、PCの熱で帰宅を迎えられたくも無かった。
 一人暮らしの気楽さでスーツを脱ぎ捨て下着だけになった僕は、エアコンのスイッチを入れて熱気を追い払う。ああ、冷房なんかじゃない、ドライだとも。地球に優しく、なにより懐に優しく。
 パソコンの起動が遅い。少しでも負荷を減らすために壁紙を設定してないのだけども、それでも完全に立ち上がるのに数分かかる。セキュリティソフトが無闇に重いのだ。
 しばらく経ってから無味乾燥な画面を見てパソコンが起動したのを確認し、メーラーを立ち上げて新着メールを確認(いつものめんどくさい家族の近況報告だけだった)。それからウェブブラウザを立ち上げて友人のブログや常連となった掲示板を覗く。
 ふと目に留まったのは、某有名巨大掲示板。
『夏の夜に怪談を語るスレ』
 そんなタイトルのスレッドが見えた。オカルトは好きだし、昔ながらの怪談はもっと好きだ。夕食のコンビニ弁当を放り出し、僕はPCにかぶりついた。

 テンプレート代わりに書かれたのは『百物語』。
 青い紙を貼った行灯に百本の灯心を入れ、一つの怪談が終わるたびに一本の灯心を抜き取る。やがて全ての灯りが消えたとき、すなわち百話目の怪談が終わったとき、怪異が訪れると言う。
「掲示板の投稿限界は千話。百物語の十倍だ。消すべき灯心はなくとも、これだけの数を集めればきっと怪異は訪れよう」
 そういう締めくくりで1つ目の話が終わっていた。
 面白い。怖い話のレパートリーは多少あるし、ここは参加するのもよいか。
 いやいや、僕が知ってるものなど日本中から(海外からもあるらしいが)アクセスされる場では、きっと多くの人間が知っている。ここは一つ創作で行くか。
 そう思案している間にも、レスがどんどん溜まっていく。オカルト好き、怪談好きはよほど多いらしい。
 昔話で読んだ話。都市伝説のたぐい。支離滅裂なあきらかな作り話。初めて目にする話。
 いけない、レスの数がすでに300を突破した。この調子ならすぐに千話に到達しそうだ。
 しかたないので、書き溜めてあった創作物から、適当なものを推敲もせずに貼り付けて投稿する。いや待て、あきらかな誤字がある。このくらいは修正しておかないと。ああ、ここの句読点は外した方が良くないか、おっと重複した表現が、ああここの言葉は同じものを連続して使って……おいおい、今どこまでレス付いてるんだ? いいかげんに送信しないと間に合わないだろう。
 適当に見切りをつけて送信する。
 どうだ? 間に合え!
 送信完了のメッセージを見た瞬間、パソコンの電源が落ちた。
 すべてのソフトが一斉に終了し、壁紙を貼ってない真っ青な四角の画面が、その瞬間だけ鮮やかに網膜に焼き付いて

青い紙を貼った行灯のように見えたそれは

プツリと音を立てて消えたのだった。
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いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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