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適当に駄文。 書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。 TRPGとか電源ゲーとかの話も。
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土曜が半分以上潰れたので欝だ。

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百の鬼が夜を行くこと
 夕日が落ち、東から暗闇が空を侵食しはじめた頃、私はそれと出逢った。
 人を避けて裏通り歩いていた私の正面から、なにやら騒ぎながらぞろぞろと連れ立って歩く集団がやってくるのが見えた。
 日が暮れて光と闇の逆転がはじまった時間、しかも街灯も無い裏通りであった。距離はあまり離れていなかったが、その集団がどのようなものか、よく視認できなかった。ただ、よくわからぬ歌のようなものを口々にわめいているのは理解できたし、その人数が多いこともわかったので、私は少し眉を寄せた。
 もとより人ごみは嫌いだ。だからこそ、こんな薄暗い道を歩いていたのだ。にもかかわらず、このような集団に出くわすとは。
 道一杯に広がった彼らは、私のことなど目にも入らぬように、いっそう騒がしくわめき散らしながら歩いてきた。
 しかたがあるまい、やり過ごすより他は無いのだ。私は道の端に身を寄せて、彼らと行き違おうとした。
 それらが目の前を通り過ぎたとき、初めて人間でないことに気が付いた。
 四肢らしきものは全てが供えていたが、しかし他にそれらが人間らしいところは微塵もなかった。
 靴のような頭を持ったモノがいた。
 ヤカンに手足が付いただけのようなモノが居た。
 車輪つきの短い手足で必死にあるく椅子のようなモノが居た。
 角の付いた、見たこともないイキモノも居た。
 私は慌ててメモを取り出した。目の前を通りすぎる異形の姿を、拙い文章で殴り書きしていった。絵心があればスケッチでもしたのであろうが、私にできることは文章を書くこと、いやそれすら「できる」と言うには未熟でありすぎるものであったが、しかし私にソレらを表現する方法は書くことしかなかった。
 恐怖も忘れて一心に異形たちの特徴を書き付けるうちに、私は気が付いた。同じモノは何一つとしてなかった。ソレらは、ソレら以外の何とも似つかなかった。道歩く異形のモノタチは、その仲間達とすら同じではないのだった。
 似ているものは確かにあった。それは靴やヤカンや椅子や鬼に似てはいた、しかしそのものではなかった。あえて言うなら人間に似ていたが、しかし人間はあのような姿を取りうる存在ではない。
 だがしかし、共通点を挙げることはできるのだ。
 ソレらは「他の何者とも似つかない」という共通点を持っていた。ソレだけが、彼らが寄り添う理由であるらしかった。
 わめいている言葉にも、意味らしいものは感じ取れなかった。初めに上がった声の調子に近い調子の叫びが続き、それが連続して繋がるために歌のように思えたが、よく聞くとその実はただの騒音でしかなかった。統一性などない。

 これが百鬼夜行というものか、と思った。
 何物にも似ることが出来ず、単一では完成できない。そういう不完全なモノたちが、不完全であるという共通点だけで寄り添う、理解も協調もない集団。
 なんと憐れな、と呟いた私の前を、百鬼夜行の最後の一匹がヨタヨタと駆け抜けていった。
 わけのわからぬ文字らしきものを書き連ねた紙をばら撒きながら、ゆっくり歩く百鬼夜行を追うように慌しく走り、そして転び続けるソレ。
 何物にも似ないソレは、あえて言うなら私に似ており、私以外には似ないという点をもって、私自身であったかもしれない。
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いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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