適当に駄文。
書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。
TRPGとか電源ゲーとかの話も。
+ + + + + + + + + +
バックベアード
日本には四季があるという。しかし、千夏はそれに反対だ。
日本にはもっと多くの季節がある。悪い意味で。
梅雨。雨は降らなくとも、湿度は増す季節だ。夏と言うには気温が高くはなく、春というには暑い日々。
今日の美術の課題は静物画だった。この前もそうだし、おそらく次もそうだろう。風景画を描こうにも天候のせいで外には出られず、自画像を描こうにもいまいち皆の表情は冴えず、粘土はこねても固まらず、木彫りをしようにもいまいち刃のノリが悪い。だから静物画である。たぶん。半分以上は千夏の勝手な推測だ。
芸術の授業は美術、音楽、書道の3種から選択する。そして他のクラスの同じ選択をした生徒たちと共同で講義を受けるのだ。
だから、普段は共にいる友人たちも、今この美術室には居ない。
風音があまり人気のない書道を選択しているのは、その意外な選択肢がむしろ彼女らしいと思えた。
雪夫が音楽選択なのはちょっとばかり驚いたが、本人いわく「汚れるのは嫌だ」との答えであった。
卓真は転校してきたばかりのころにさんざん唸って悩んでいたが、「カタチに残るものは嫌だけど、歌って言葉になるのはもっと嫌だ」とかわけのわからないことを言って書道を選択していた。
千夏が美術を選んだ理由は、神主をやっている父親が書道をたしなんでいることと、また日々祝詞をあげている彼の声量を普段から見知っているからである。なにかの折につけて見比べられるのも、自分でそう意識してしまうのも嫌だったのだ。ちなみに後に聞いた話では、父親自身も高校時代は千夏とまったく同じ理由で絵画を習っていたらしい。さんざん母親に笑われた。
そんなわけで、千夏はさほど親しくもなく、かといって疎遠でもないクラスメートたちとおしゃべりしながら、丸テーブルの上に置かれた果物をデッサンしていた。
生徒の大半は適当に手を抜きながら鉛筆を走らせているが、中には真剣な面持ちで取り組んでいるものも存在した。大半が美術部の生徒で、またそのほぼ全てが女子であった。
生徒達の後ろをゆっくりと歩いている教師はまだ三十路に達さぬ若い男で、かなり女生徒に人気の有る顔立ちと体型であった。女性には優しく、しかしこと美術に関しての指導は厳しいのだとか、そこがまたいいのだとか、千夏にはよくわからないが、まあおおむね女子からの評判が高い教師だった。
その美術教師が、千夏の後ろで立ち止まって、スケッチブックを覗き込んだ。
(やばい)
まず千夏の脳裏に浮かんだ言葉はそれだった。
友人とおしゃべりしていたことが不味いのではない。やることさえやっていれば、私語にも内職にも寛容な教師であることは知っていた。問題なのは、千夏が描いていた絵である。
丸テーブルの上に置かれた果物。それが今回のモデルである。
千夏が描いていたのは、8割がテーブルであった。
細かく描くのが面倒だから、とあえて低い視点から、テーブルの脚と天板の裏を中心にすえていたのである。果物などテーブルの端からわずかに見える程度でしかない。しかも遠近のバランスがおかしくて、テーブルが見上げるような高台に感じられる。
愛想笑いを浮かべて振り返った千夏に、教師が目を細めて言った。
「面白い構図だね。色を塗ったらどう変わるだろう。楽しみだよ」
美術に関しての指導は厳しい教師なのだと、そう千夏は聞いていた。じゃあこれは皮肉か?と思ったが、そういう回りくどい批判などするはずもない人物で、ではつまりこれは本気で褒められているのだろうか?
助言を求めようとして視線を逸らせた先のクラスメートは、千夏と同じく驚愕のあまり凍りついていた。それはそうだ。こんな手抜きの作品が期待されようとは。
他に誰かこの混乱から立ち直らせてくれるものが居ないか、と頭を巡らすと、美術部の生徒たちがこちらを注目しているのに気が付いた。この美術教師にここまで言われるのは、彼女らにとっても珍しいらしかった。
こちらを見ていた美術部の女子が1人、歩み寄ってきた。普段のクラスは違うので、名前は知らない。
「ちょっと見せてもらえる」
「うん」
静かな尋ねかたであったが、なにか断れない雰囲気だった。これが他の友人なら、恥ずかしがるふりでもして、というか実際恥ずかしいわけだが、隠してしまうところだ。
その美術部員はしばらくデッサンを見つめた後で、千夏に言った。
「そうね、あまりこういう描き方はしないわね」
「そ、そうだろうね」
愛想と自嘲の混じった笑みを無視して、美術部員は千夏の目を覗き込むようにして言葉を続けた。
「意外性の勝利というのは、センスを持った人間にしかできないことだわ。わたしも完成を楽しみにしてるから」
「うん…」
彼女の言葉の内容よりも、長い睫毛の奥の透き通る茶色の虹彩と、そのさらに奥の漆黒の瞳孔とが強く印象に残った。
その日の昼食は、珍しく千夏のほうが風音よりも早く食べ終えた。
食べ終えたというのは正確ではない。食べるのをやめた。
「どうした、千夏が食事を残すとは珍しい」
「ん、今日は部活もないから無理に食べなくてもいいかなって」
「すこし顔色もよくないな。暑気あたりか」
たしかに蒸し暑くはあるが、暑気あたりというほどのものでもない。しかし気分が優れないのも確かだったので、風にでもあたろうかと窓のほうへと歩いた。
外に顔を出すと、ちょっと気分がよくなった気がした。風が強いのだろうか、こんなにまぶしいのに顔だけ少し寒いくらい。
なんでまぶしいのだろう、と顔を上げてみると、雲間から太陽が顔を出していた。
まぶしい。
白い光が世界を染める。
まっしろに染まった世界の中で、白の中心であるはずの太陽だけが、反転したかのように黒い。
寒い。
それはそうだろう、だって太陽があんなに黒いのだから。
寒いから顔から血の気が引いた。血が引いたはずなのに、その分軽くなったはずなのに、頭が妙に重たい。
眠っていいよ、と太陽が言った。
白い世界の中で黒々と輝く太陽が、長い睫毛の奥の透き通る茶色の虹彩と、その奥の漆黒の瞳孔で疲れきった千夏を見つめながら、
休みなさいよ、と言ってくれた。
おやすみなさい。
頭がカクンと落ちた。
ズルリと胸が続いた。小さいから抵抗はない。
うるさいなぁ空気抵抗ないほうが陸上は有利だろう、とか呟いた時、
なにかが激しくぶつかる音と
なにかが砕け散る音と
「やっちまったああああああああ!!」
聞き覚えの有る声が、聞いたことない絶叫を放っていた。
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「失礼な話だな、他の急患があるから勝手に寝ていろというのは」
しかたないよ。だってたいへんなんでしょう?
「こちらだって一歩間違えば大惨事だ。物部には感謝しておけ」
うん、そーする
「いや、ああ、すまん。本当は私がもっと先に気づいておけば、こんなことにもならなかったのだが」
でもあれは、黒い太陽がしたことだから
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「黒い太陽に見つめられた? それはバックベアードだな」
このろりこんどもめー
「それは最近の創作。もともと大先生の創作らしいけど」
おばけの話はやめてよ~
「見つめられたら眩暈がするとか、じつは光化学スモッグのことらしいね」
むずかしい話もやめようよ
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「太陽ってのは希望や憧憬の象徴なんだ。黒い太陽ってのは希望にも憧憬にも成れなかったもの、羨望や嫉妬の象徴かもね」
むーずーかーしーはーなーしーはー
「見つめることで発動する呪術は古今東西に偏在する。邪眼ってやつだな。眼は口ほどにモノを言いっと」
やーめーてー
「黒い太陽は希望の成りそこねか、それとも希望の反転なのか。どっちにしてもなぁ」
なんか悲しい? さびしい?
「俺たち、いつか太陽と月を喰らうんだってさ」
次の日には千夏は元気になっていた。
同じ頃にあった事故のせいで、3階の窓から落ちかけた千夏の件はうやむやになっている。
美術部の女子が1人、階段から落ちて失明したのだとか、そもそも何かが眼に入って階段から落ちたのだとか、そういう話らしい。片目を失い右手が折れても、その少女はまた絵を描くために頑張っているのだとか。
千夏などは陸上部に所属はしているものの、別段とりたててそこまでの情熱があるわけでもなく、そういう話を聞くと「何かに打ち込める人ってすごいなぁ」などと思うしかないわけである。
「以前、完全に光を失っても絵を描き続けている画家の話を聞いたことがあるな」
「僕が聞いたのは、完全失明してから写真を撮りだした人だな」
「それはちょっと私には理解できない感性だな」
風音と雪夫が話しているそばで、卓真だけがなぜかぐったりしていた。
「どうした物部、公衆の面前で千夏の腰に猛然と抱きついた男。元気がないぞ。ついでに言っておくが次の機会は私に譲れ」
「男が反応に困る話題の振り方はやめるんだ、柳川」
男だけではなく、千夏も反応に困る。
そんな声に気だるげに顔を上げた卓真は、ほそぼそとした声を絞り出して言った。
「俺が割った窓ガラス代、小遣いからひねり出すしかないみたいでさぁ」
「ごめん、わたしのせいだよね! わたしが払うよ、それは!」
「それは今更かっこ悪いなぁ物部」
「そうだな、せっかく上がった株が下がるな」
わいわいと騒ぐ3人を眩しそうに見ながら卓真が小さく呟いた。
「はらへったなぁ」
日本には四季があるという。しかし、千夏はそれに反対だ。
日本にはもっと多くの季節がある。悪い意味で。
梅雨。雨は降らなくとも、湿度は増す季節だ。夏と言うには気温が高くはなく、春というには暑い日々。
今日の美術の課題は静物画だった。この前もそうだし、おそらく次もそうだろう。風景画を描こうにも天候のせいで外には出られず、自画像を描こうにもいまいち皆の表情は冴えず、粘土はこねても固まらず、木彫りをしようにもいまいち刃のノリが悪い。だから静物画である。たぶん。半分以上は千夏の勝手な推測だ。
芸術の授業は美術、音楽、書道の3種から選択する。そして他のクラスの同じ選択をした生徒たちと共同で講義を受けるのだ。
だから、普段は共にいる友人たちも、今この美術室には居ない。
風音があまり人気のない書道を選択しているのは、その意外な選択肢がむしろ彼女らしいと思えた。
雪夫が音楽選択なのはちょっとばかり驚いたが、本人いわく「汚れるのは嫌だ」との答えであった。
卓真は転校してきたばかりのころにさんざん唸って悩んでいたが、「カタチに残るものは嫌だけど、歌って言葉になるのはもっと嫌だ」とかわけのわからないことを言って書道を選択していた。
千夏が美術を選んだ理由は、神主をやっている父親が書道をたしなんでいることと、また日々祝詞をあげている彼の声量を普段から見知っているからである。なにかの折につけて見比べられるのも、自分でそう意識してしまうのも嫌だったのだ。ちなみに後に聞いた話では、父親自身も高校時代は千夏とまったく同じ理由で絵画を習っていたらしい。さんざん母親に笑われた。
そんなわけで、千夏はさほど親しくもなく、かといって疎遠でもないクラスメートたちとおしゃべりしながら、丸テーブルの上に置かれた果物をデッサンしていた。
生徒の大半は適当に手を抜きながら鉛筆を走らせているが、中には真剣な面持ちで取り組んでいるものも存在した。大半が美術部の生徒で、またそのほぼ全てが女子であった。
生徒達の後ろをゆっくりと歩いている教師はまだ三十路に達さぬ若い男で、かなり女生徒に人気の有る顔立ちと体型であった。女性には優しく、しかしこと美術に関しての指導は厳しいのだとか、そこがまたいいのだとか、千夏にはよくわからないが、まあおおむね女子からの評判が高い教師だった。
その美術教師が、千夏の後ろで立ち止まって、スケッチブックを覗き込んだ。
(やばい)
まず千夏の脳裏に浮かんだ言葉はそれだった。
友人とおしゃべりしていたことが不味いのではない。やることさえやっていれば、私語にも内職にも寛容な教師であることは知っていた。問題なのは、千夏が描いていた絵である。
丸テーブルの上に置かれた果物。それが今回のモデルである。
千夏が描いていたのは、8割がテーブルであった。
細かく描くのが面倒だから、とあえて低い視点から、テーブルの脚と天板の裏を中心にすえていたのである。果物などテーブルの端からわずかに見える程度でしかない。しかも遠近のバランスがおかしくて、テーブルが見上げるような高台に感じられる。
愛想笑いを浮かべて振り返った千夏に、教師が目を細めて言った。
「面白い構図だね。色を塗ったらどう変わるだろう。楽しみだよ」
美術に関しての指導は厳しい教師なのだと、そう千夏は聞いていた。じゃあこれは皮肉か?と思ったが、そういう回りくどい批判などするはずもない人物で、ではつまりこれは本気で褒められているのだろうか?
助言を求めようとして視線を逸らせた先のクラスメートは、千夏と同じく驚愕のあまり凍りついていた。それはそうだ。こんな手抜きの作品が期待されようとは。
他に誰かこの混乱から立ち直らせてくれるものが居ないか、と頭を巡らすと、美術部の生徒たちがこちらを注目しているのに気が付いた。この美術教師にここまで言われるのは、彼女らにとっても珍しいらしかった。
こちらを見ていた美術部の女子が1人、歩み寄ってきた。普段のクラスは違うので、名前は知らない。
「ちょっと見せてもらえる」
「うん」
静かな尋ねかたであったが、なにか断れない雰囲気だった。これが他の友人なら、恥ずかしがるふりでもして、というか実際恥ずかしいわけだが、隠してしまうところだ。
その美術部員はしばらくデッサンを見つめた後で、千夏に言った。
「そうね、あまりこういう描き方はしないわね」
「そ、そうだろうね」
愛想と自嘲の混じった笑みを無視して、美術部員は千夏の目を覗き込むようにして言葉を続けた。
「意外性の勝利というのは、センスを持った人間にしかできないことだわ。わたしも完成を楽しみにしてるから」
「うん…」
彼女の言葉の内容よりも、長い睫毛の奥の透き通る茶色の虹彩と、そのさらに奥の漆黒の瞳孔とが強く印象に残った。
その日の昼食は、珍しく千夏のほうが風音よりも早く食べ終えた。
食べ終えたというのは正確ではない。食べるのをやめた。
「どうした、千夏が食事を残すとは珍しい」
「ん、今日は部活もないから無理に食べなくてもいいかなって」
「すこし顔色もよくないな。暑気あたりか」
たしかに蒸し暑くはあるが、暑気あたりというほどのものでもない。しかし気分が優れないのも確かだったので、風にでもあたろうかと窓のほうへと歩いた。
外に顔を出すと、ちょっと気分がよくなった気がした。風が強いのだろうか、こんなにまぶしいのに顔だけ少し寒いくらい。
なんでまぶしいのだろう、と顔を上げてみると、雲間から太陽が顔を出していた。
まぶしい。
白い光が世界を染める。
まっしろに染まった世界の中で、白の中心であるはずの太陽だけが、反転したかのように黒い。
寒い。
それはそうだろう、だって太陽があんなに黒いのだから。
寒いから顔から血の気が引いた。血が引いたはずなのに、その分軽くなったはずなのに、頭が妙に重たい。
眠っていいよ、と太陽が言った。
白い世界の中で黒々と輝く太陽が、長い睫毛の奥の透き通る茶色の虹彩と、その奥の漆黒の瞳孔で疲れきった千夏を見つめながら、
休みなさいよ、と言ってくれた。
おやすみなさい。
頭がカクンと落ちた。
ズルリと胸が続いた。小さいから抵抗はない。
うるさいなぁ空気抵抗ないほうが陸上は有利だろう、とか呟いた時、
なにかが激しくぶつかる音と
なにかが砕け散る音と
「やっちまったああああああああ!!」
聞き覚えの有る声が、聞いたことない絶叫を放っていた。
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「失礼な話だな、他の急患があるから勝手に寝ていろというのは」
しかたないよ。だってたいへんなんでしょう?
「こちらだって一歩間違えば大惨事だ。物部には感謝しておけ」
うん、そーする
「いや、ああ、すまん。本当は私がもっと先に気づいておけば、こんなことにもならなかったのだが」
でもあれは、黒い太陽がしたことだから
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「黒い太陽に見つめられた? それはバックベアードだな」
このろりこんどもめー
「それは最近の創作。もともと大先生の創作らしいけど」
おばけの話はやめてよ~
「見つめられたら眩暈がするとか、じつは光化学スモッグのことらしいね」
むずかしい話もやめようよ
ベッドの脇で誰かが喋っていた。
「太陽ってのは希望や憧憬の象徴なんだ。黒い太陽ってのは希望にも憧憬にも成れなかったもの、羨望や嫉妬の象徴かもね」
むーずーかーしーはーなーしーはー
「見つめることで発動する呪術は古今東西に偏在する。邪眼ってやつだな。眼は口ほどにモノを言いっと」
やーめーてー
「黒い太陽は希望の成りそこねか、それとも希望の反転なのか。どっちにしてもなぁ」
なんか悲しい? さびしい?
「俺たち、いつか太陽と月を喰らうんだってさ」
次の日には千夏は元気になっていた。
同じ頃にあった事故のせいで、3階の窓から落ちかけた千夏の件はうやむやになっている。
美術部の女子が1人、階段から落ちて失明したのだとか、そもそも何かが眼に入って階段から落ちたのだとか、そういう話らしい。片目を失い右手が折れても、その少女はまた絵を描くために頑張っているのだとか。
千夏などは陸上部に所属はしているものの、別段とりたててそこまでの情熱があるわけでもなく、そういう話を聞くと「何かに打ち込める人ってすごいなぁ」などと思うしかないわけである。
「以前、完全に光を失っても絵を描き続けている画家の話を聞いたことがあるな」
「僕が聞いたのは、完全失明してから写真を撮りだした人だな」
「それはちょっと私には理解できない感性だな」
風音と雪夫が話しているそばで、卓真だけがなぜかぐったりしていた。
「どうした物部、公衆の面前で千夏の腰に猛然と抱きついた男。元気がないぞ。ついでに言っておくが次の機会は私に譲れ」
「男が反応に困る話題の振り方はやめるんだ、柳川」
男だけではなく、千夏も反応に困る。
そんな声に気だるげに顔を上げた卓真は、ほそぼそとした声を絞り出して言った。
「俺が割った窓ガラス代、小遣いからひねり出すしかないみたいでさぁ」
「ごめん、わたしのせいだよね! わたしが払うよ、それは!」
「それは今更かっこ悪いなぁ物部」
「そうだな、せっかく上がった株が下がるな」
わいわいと騒ぐ3人を眩しそうに見ながら卓真が小さく呟いた。
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プロフィール
HN:
双葉稀鏡
性別:
男性
趣味:
TRPG
自己紹介:
いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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