適当に駄文。
書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。
TRPGとか電源ゲーとかの話も。
+ + + + + + + + + +
作中作
試写室
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っている。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しく感じる。
「評論家だけ集めて試写とは珍しいですな」
「宣伝効果を狙ってのことでしょう」
「よっぽど自信があるんですね」
「今ならネットを使った口コミなんかのほうが、我々よりも有能ですけども」
「ほら、はじまりますよ」
照明が落ちる。
銀幕
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っていた。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しい。
男達がざわめき、ささやき、しずかになって、一本の映画が始まった。
それは行きずりの女に恋をした、愚かで滑稽な男の物語。
試写室
「作中作ですな」
「それにしてはインパクトの薄い作品でしょう」
「二本の映画を見てる気分ですね。これはお得な」
「これで本編まで駄作なら、とても損するわけですけども」
「しっ、最後まで見ましょうよ」
銀幕
主人公は中年の映画評論家であった。
彼は試写の終わった恋愛映画の感想を漏らした。語った。酷評した。
リアリティがない、ロマンもない、ありきたりの題材でありながら、しかし基本を抑えていない。
評論家は無駄な時間を過ごしたことに憤慨し、試写会に訪れていた映画監督に、これでもかと罵声を浴びせかけた。
監督は血がにじむほどに唇を噛みしめ、ただ黙ってその罵声を受け止めていた。
試写室
失笑が満ちる。
「これは嫌がらせですな」
「映画の中で映画評論家を糾弾してもしかたないでしょう」
「いやぁ主人公の批評は非常に正しいですね」
「小学生にでもできそうな指摘ですけども」
「まあ最後まで見ましょうよ」
銀幕
試写室を出た評論家は、憤懣を抱えたまま街を歩いた。
酒を飲んでは先ほどの映画の批評をし、店を変えては酒を飲んで監督の才能の無さを笑った。
そして彼は出会った。
それは行きずりの女、しかし彼の運命の人。
彼の嫌った映画のように愚かに、彼が軽蔑したストーリーよりも滑稽に、彼はその女性の前で道化を演じ続けた。
試写室
「事実は映画よりも奇なり、ですな」
「というのを映画で言ってるわけでしょう」
「あの女優は良い演技しますね」
「脚本と演出のせいで台無しですけども」
「とりあえず最後まで見ましょうよ」
銀幕
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っていた。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しい。
男達がざわめき、ささやき、しずかになって、一本の映画が始まった。
それは1人の男の憎悪から発した、残虐で陰惨な虐殺の物語。
試写室
「これまた作中作ですな」
「陳腐な恋愛物よりはマシでしょう」
「おやおや三本も映画が見られましたよ。お得ですね」
「しかし面白みがないので、まったく無駄なわけですけども」
「せめて最後まで見ましょうよ」
銀幕
評論家は試写の終わったスプラッタ映画の感想を漏らした。語った。酷評した。
リアリティがない、恐怖もない、ありきたりの題材でありながら、しかし基本を抑えていない。
評論家は無駄な時間を過ごしたことに憤慨し、試写会に訪れていた映画監督に、これでもかと罵声を浴びせかけた。
監督は血がにじむほどに唇を噛みしめた。しかし今度はそれでは終わらなかった。
監督が懐に手を入れ、1丁の拳銃を取り出した。
そして評論家たちを惨劇が襲った。
彼らの嫌った映画のように残虐で、彼らが軽蔑したストーリーよりも陰惨な虐殺。
試写室のスクリーンに飛び散った赤黒い血がアップになり、そしてリアルのスクリーン自体を覆いつくした。
試写室
ため息が部屋にあふれた。
「駄作でしたな」
「これは本当に我々への嫌がらせでしょう」
「あの女優の演技は一品ですね」
「あの一瞬のためだけに、この長い拷問が続いたわけですけども」
「最後まで見てもダメでしたね」
口々に語る評論家たちの耳に、誰かの銃の撃鉄が起こされる音が聞こえた。
試写室
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っている。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しく感じる。
「評論家だけ集めて試写とは珍しいですな」
「宣伝効果を狙ってのことでしょう」
「よっぽど自信があるんですね」
「今ならネットを使った口コミなんかのほうが、我々よりも有能ですけども」
「ほら、はじまりますよ」
照明が落ちる。
銀幕
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っていた。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しい。
男達がざわめき、ささやき、しずかになって、一本の映画が始まった。
それは行きずりの女に恋をした、愚かで滑稽な男の物語。
試写室
「作中作ですな」
「それにしてはインパクトの薄い作品でしょう」
「二本の映画を見てる気分ですね。これはお得な」
「これで本編まで駄作なら、とても損するわけですけども」
「しっ、最後まで見ましょうよ」
銀幕
主人公は中年の映画評論家であった。
彼は試写の終わった恋愛映画の感想を漏らした。語った。酷評した。
リアリティがない、ロマンもない、ありきたりの題材でありながら、しかし基本を抑えていない。
評論家は無駄な時間を過ごしたことに憤慨し、試写会に訪れていた映画監督に、これでもかと罵声を浴びせかけた。
監督は血がにじむほどに唇を噛みしめ、ただ黙ってその罵声を受け止めていた。
試写室
失笑が満ちる。
「これは嫌がらせですな」
「映画の中で映画評論家を糾弾してもしかたないでしょう」
「いやぁ主人公の批評は非常に正しいですね」
「小学生にでもできそうな指摘ですけども」
「まあ最後まで見ましょうよ」
銀幕
試写室を出た評論家は、憤懣を抱えたまま街を歩いた。
酒を飲んでは先ほどの映画の批評をし、店を変えては酒を飲んで監督の才能の無さを笑った。
そして彼は出会った。
それは行きずりの女、しかし彼の運命の人。
彼の嫌った映画のように愚かに、彼が軽蔑したストーリーよりも滑稽に、彼はその女性の前で道化を演じ続けた。
試写室
「事実は映画よりも奇なり、ですな」
「というのを映画で言ってるわけでしょう」
「あの女優は良い演技しますね」
「脚本と演出のせいで台無しですけども」
「とりあえず最後まで見ましょうよ」
銀幕
10人に満たない数の男達が、据付の椅子に座っていた。
椅子の半分は無人で、ただでさえ殺風景な部屋が物寂しい。
男達がざわめき、ささやき、しずかになって、一本の映画が始まった。
それは1人の男の憎悪から発した、残虐で陰惨な虐殺の物語。
試写室
「これまた作中作ですな」
「陳腐な恋愛物よりはマシでしょう」
「おやおや三本も映画が見られましたよ。お得ですね」
「しかし面白みがないので、まったく無駄なわけですけども」
「せめて最後まで見ましょうよ」
銀幕
評論家は試写の終わったスプラッタ映画の感想を漏らした。語った。酷評した。
リアリティがない、恐怖もない、ありきたりの題材でありながら、しかし基本を抑えていない。
評論家は無駄な時間を過ごしたことに憤慨し、試写会に訪れていた映画監督に、これでもかと罵声を浴びせかけた。
監督は血がにじむほどに唇を噛みしめた。しかし今度はそれでは終わらなかった。
監督が懐に手を入れ、1丁の拳銃を取り出した。
そして評論家たちを惨劇が襲った。
彼らの嫌った映画のように残虐で、彼らが軽蔑したストーリーよりも陰惨な虐殺。
試写室のスクリーンに飛び散った赤黒い血がアップになり、そしてリアルのスクリーン自体を覆いつくした。
試写室
ため息が部屋にあふれた。
「駄作でしたな」
「これは本当に我々への嫌がらせでしょう」
「あの女優の演技は一品ですね」
「あの一瞬のためだけに、この長い拷問が続いたわけですけども」
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口々に語る評論家たちの耳に、誰かの銃の撃鉄が起こされる音が聞こえた。
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HN:
双葉稀鏡
性別:
男性
趣味:
TRPG
自己紹介:
いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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