適当に駄文。
書き物は妖怪メイン・・・でもないかも。
TRPGとか電源ゲーとかの話も。
+ + + + + + + + + +
終末の日に猫は鳴く
その猫がいつからいるのか、知る者は無い。
その猫がどこから来たのか、知る者も無い。
猫はいつも、小さな喫茶店の小さな看板の上で丸くなっている。
猫は町の人に好かれてはいない。
猫は町の人に嫌われてもいない。
いつも丸くなっている猫は、誰の邪魔もしないので、皆が無視する。
ときおり子供や通りすがりの大人が目をとめて、頭や背中を撫でる。
そんな時だけ猫は薄く目を開けて、ちょっとだけ尻尾を振ってみせる。
まるで「媚びるのは嫌だが、相手はしてやるよ」とでもいうように、
ほんとうにちょっとだけ尻尾を動かして、猫はまたすぐ目を閉じる。
日が沈みかけた頃、人が逢魔が刻と呼ぶ頃に、猫は人知れず目を覚ます。
猫の瞳孔は開き、何者をも見逃さぬよう爛々と輝く。
猫は足音を忍ばせ、獲物を探して夜の町を歩く。
奴等は日暮れとともに現れて、闇夜とともに人を襲い、夜明けとともに消え去る。
人を狩る奴等を、猫が狩る。爪と牙とで、奴等を倒す。
猫には仲間など居ない。猫には奴等を許す気がない。だから猫は鳴くことが無い。
群れて戦う犬たちが戦士なら、単騎で襲う猫は暗殺者か処刑者か。
人を襲う奴等の存在を、奴等と戦う猫の日々を、人は誰も知らない。
明け方、奴等が去り始める頃、猫は友を思い出す。
奴等から人を守っていた友。奴等に欺かれ、人に害された友。
友は猫に「奴等を倒してくれ」とは頼まなかった。
友は猫に「人々を守ってくれ」とも頼まなかった。
猫も、友のために奴等を狩るつもりはなかった。
猫はただ、自分の喜びのために奴等を狩った。
それでも猫は思う。だからこそ猫は考える。
友の希望と自分の欲望の結果が同じならば、それは素晴らしいことだろう。
戦い終えた猫は尻尾を振りながら、ゆっくりあるいて定位置へ帰る。
小さな喫茶店の小さな看板の上で、猫は丸くなって目を閉じる。
丸くなって眠る猫は、夢を見る。
いつか来るであろう最期の日。
奴等で世界があふれかえり、人が窮地に立たされる時。
度重なる奴等との戦いに、猫が致命的な傷を負う時。
猫は倒れそうになりながら、自分の姿にかつての友を映して笑う。
友も傷だらけで逝ったものだ、とちょっと誇らしげに笑ってみせる。
ゆらいで倒れかけた猫の体を、だれかが後ろから掬い上げる。
誰かと思って見上げると、笑みを浮かべた友が居る。
傷一つ無い体で帰ってきた友は、猫に「ありがとう」とは言わない。
約束などしていない。頼んだことも、望んだことも無い。
猫はただ自分が望んだから奴等と戦い、結果的に人が救われていただけだ。
だから友は礼を言わない。ただ帰還を告げる言葉を囁く。
猫はそれに満足し、久々に鳴き声をあげる。
終末の日に長々と、帰ってきた友へと声をあげる。
その猫がいつからいるのか、知る者は無い。
その猫がどこから来たのか、知る者も無い。
猫はいつも、小さな喫茶店の小さな看板の上で丸くなっている。
猫は町の人に好かれてはいない。
猫は町の人に嫌われてもいない。
いつも丸くなっている猫は、誰の邪魔もしないので、皆が無視する。
ときおり子供や通りすがりの大人が目をとめて、頭や背中を撫でる。
そんな時だけ猫は薄く目を開けて、ちょっとだけ尻尾を振ってみせる。
まるで「媚びるのは嫌だが、相手はしてやるよ」とでもいうように、
ほんとうにちょっとだけ尻尾を動かして、猫はまたすぐ目を閉じる。
日が沈みかけた頃、人が逢魔が刻と呼ぶ頃に、猫は人知れず目を覚ます。
猫の瞳孔は開き、何者をも見逃さぬよう爛々と輝く。
猫は足音を忍ばせ、獲物を探して夜の町を歩く。
奴等は日暮れとともに現れて、闇夜とともに人を襲い、夜明けとともに消え去る。
人を狩る奴等を、猫が狩る。爪と牙とで、奴等を倒す。
猫には仲間など居ない。猫には奴等を許す気がない。だから猫は鳴くことが無い。
群れて戦う犬たちが戦士なら、単騎で襲う猫は暗殺者か処刑者か。
人を襲う奴等の存在を、奴等と戦う猫の日々を、人は誰も知らない。
明け方、奴等が去り始める頃、猫は友を思い出す。
奴等から人を守っていた友。奴等に欺かれ、人に害された友。
友は猫に「奴等を倒してくれ」とは頼まなかった。
友は猫に「人々を守ってくれ」とも頼まなかった。
猫も、友のために奴等を狩るつもりはなかった。
猫はただ、自分の喜びのために奴等を狩った。
それでも猫は思う。だからこそ猫は考える。
友の希望と自分の欲望の結果が同じならば、それは素晴らしいことだろう。
戦い終えた猫は尻尾を振りながら、ゆっくりあるいて定位置へ帰る。
小さな喫茶店の小さな看板の上で、猫は丸くなって目を閉じる。
丸くなって眠る猫は、夢を見る。
いつか来るであろう最期の日。
奴等で世界があふれかえり、人が窮地に立たされる時。
度重なる奴等との戦いに、猫が致命的な傷を負う時。
猫は倒れそうになりながら、自分の姿にかつての友を映して笑う。
友も傷だらけで逝ったものだ、とちょっと誇らしげに笑ってみせる。
ゆらいで倒れかけた猫の体を、だれかが後ろから掬い上げる。
誰かと思って見上げると、笑みを浮かべた友が居る。
傷一つ無い体で帰ってきた友は、猫に「ありがとう」とは言わない。
約束などしていない。頼んだことも、望んだことも無い。
猫はただ自分が望んだから奴等と戦い、結果的に人が救われていただけだ。
だから友は礼を言わない。ただ帰還を告げる言葉を囁く。
猫はそれに満足し、久々に鳴き声をあげる。
終末の日に長々と、帰ってきた友へと声をあげる。
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HN:
双葉稀鏡
性別:
男性
趣味:
TRPG
自己紹介:
いつもは別のハンドルを使っている。
某MMOの属性武器の通称と同じなのは嫌なので、こっちを名乗る。
某大学RPG研究会OB。
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